金閣寺と鹿苑寺は、まったく同じ場所・同じお寺を指す2つの呼び名で、違いはありません。
正式名称は「鹿苑寺(ろくおんじ)」で、「金閣寺」はあくまで通称です。ただし「金閣寺」という呼び方は間違いではなく、公式サイトや観光案内でも広く使われています。
ではなぜ2つの名前があるのか。その答えは「金閣」という建物にあります。お寺の中にある金箔張りの舎利殿(しゃりでん)が「金閣」と呼ばれ、あまりに有名になったため、お寺全体が「金閣寺」という通称で定着しました。
名前の関係を整理すると、次のようになります。
| 呼び名 | 種別 | 何を指すか |
|---|---|---|
| 北山鹿苑禅寺(ほくざんろくおんぜんじ) | 完全な正式名称 | お寺全体 |
| 鹿苑寺(ろくおんじ) | 正式名称 | お寺全体 |
| 金閣寺(きんかくじ) | 通称 | お寺全体 |
| 金閣(きんかく) | 建物の名前 | 舎利殿という建物のみ |
「鹿苑寺」という名前は、室町幕府3代将軍・足利義満の法号「鹿苑院殿」から取られたものです。義満の死後にお寺となり、その法号にちなんで名付けられました。
なお、よく混乱しやすいポイントとして「世界遺産」と「国宝」の話があります。金閣寺(鹿苑寺)は1994年に世界遺産に登録されていますが、あの金色の建物「金閣」自体は国宝でも世界遺産の登録対象でもありません。理由は昭和25年(1950年)に焼失して再建されたためです。詳しくはこの記事で後述しています。
英語で書く場合は「Kinkaku-ji」が一般的で、正式名称を示したい場合は「Rokuon-ji」が対応します。
- 金閣寺と鹿苑寺は同じお寺を指す2つの呼び名だということ
- 正式名称は鹿苑寺で、金閣寺は通称だが間違いではないこと
- 「金閣」はお寺全体ではなく建物(舎利殿)の名前だということ
- 鹿苑寺という名前の由来と、義満の法号との関係
- 金閣が世界遺産・国宝ではない理由
- 英語表記Kinkaku-jiとRokuon-jiの使い分け
金閣寺と鹿苑寺の違いとは?同じお寺を指す2つの名前の関係

鹿苑寺が正式名称、金閣寺は通称
金閣寺の正式名称は「鹿苑寺(ろくおんじ)」です。より完全な形では「北山鹿苑禅寺(ほくざんろくおんぜんじ)」といいます。京都市北区にある臨済宗相国寺派の禅寺で、大本山・相国寺の境外塔頭(けいがいたっちゅう)にあたります。
一方「金閣寺」は通称です。正式な寺名ではありませんが、公式サイトでも「金閣寺」という呼び方を使っており、世界遺産の登録名にも「鹿苑寺(金閣寺)」と併記されています。どちらで呼んでも問題はなく、正式な場面では「鹿苑寺」、観光や日常会話では「金閣寺」と使い分けるのが自然です。
金箔の舎利殿が「金閣」、お寺全体の通称が「金閣寺」
「金閣」と「金閣寺」はよく混同されますが、指しているものが違います。
「金閣」は、境内にある金箔張りの三層の建物「舎利殿」のことです。舎利殿とは、お釈迦様の遺骨(仏舎利)を安置するための建物を指します。二層・三層に金箔が貼られたこの建物があまりにも印象的で有名になったため、鹿苑寺全体が「金閣のあるお寺=金閣寺」と呼ばれるようになっていきました。
「金閣寺」は、その金閣を含む境内全体、つまりお寺そのものを指す通称です。建物ひとつの名前が、やがてお寺全体の名前として定着した珍しいケースといえます。
◎金閣(舎利殿)の三層構造や建築様式についてはこちらで詳しく解説しています。
→ 金閣寺の建築様式とは?寝殿造・武家造・禅宗様の違い!金箔と三層構造の魅力と歴史を知る旅
鹿苑寺という名前の由来は足利義満の法号にある
「鹿苑寺」という名前は、室町幕府3代将軍・足利義満の法号(出家後に授けられる名前)「鹿苑院殿(ろくおんいんどの)」から取られています。
もともとこの地には、鎌倉時代の公卿・西園寺公経(さいおんじきんつね)が建てた寺院と山荘がありました。義満はその別荘を譲り受け、1397年(応永4年)に「北山殿(きたやまどの)」と呼ぶ山荘を造営しました。この北山殿の中心的な建物として造られたのが、のちに「金閣」と呼ばれる舎利殿です。
義満の死後、遺言によって北山殿は禅寺に改められました。開山(創設者格の僧)には夢窓国師(むそうこくし)を迎え、義満の法号「鹿苑院殿」から二字を取って「鹿苑寺」と名付けられました。これが現在の正式名称の由来です。
ちなみに「鹿苑(ろくおん)」という言葉自体は、お釈迦様が初めて説法を行った場所「鹿野苑(ろくやおん)」に由来しています。法号の中にも仏教的な意味が込められていたんですね。
◎足利義満が金閣寺を建てた理由や北山文化との関係はこちらで詳しく解説しています。
→ 金閣寺はなぜ建てられたのか?足利義満と黄金の寺に秘められた真実!三層構造に込められた思惑とは
「金閣寺」という呼び方は間違いではない
「金閣寺は正式名称じゃないから間違い」という話を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、日常会話・観光・公式の場面において「金閣寺」という呼び方はまったく間違いではありません。
臨済宗相国寺派の公式サイトでも「金閣寺」という表記を使用しており、京都市の観光案内や世界遺産の登録名称にも「鹿苑寺(金閣寺)」と両方が併記されています。歴史の試験では「鹿苑寺」が正式とされますが、「金閣寺と呼ぶのは失礼」「金閣寺は誤り」ということはまったくありません。
同じような例が銀閣寺にもあります。銀閣寺の正式名称は「慈照寺(じしょうじ)」ですが、一般的に「銀閣寺」と呼ばれており、こちらも通称が広く定着しています。
◎銀閣寺(慈照寺)の名前の由来や、金閣寺との違いについてはこちらで解説しています。
→ 銀閣寺はなぜ銀じゃない?銀箔を使わなかった理由と名前の由来、わび・さびに込められた美しさを解説|京都・東山・慈照寺
金閣寺と鹿苑寺の違いと両者にまつわる3つの意外な事実

あの金色の建物「金閣」は国宝でも世界遺産の登録対象でもない
「金閣寺は世界遺産なのに、なぜ国宝じゃないの?」
と疑問に思う人は多いです。答えは、現在の金閣(舎利殿)は1950年(昭和25年)に放火で焼失し、1955年(昭和30年)に再建された建物だからです。
元々の金閣は室町時代に建てられた国宝でしたが、放火事件によって全焼してしまいました。再建された建物は歴史的に浅く、国宝に指定される年月を経ていないため、現在の金閣は国宝の指定を受けていません。
世界遺産についても同様の理由から、金閣(建物)は登録対象外となっています。では、なぜ金閣寺(鹿苑寺)が世界遺産に登録されているのか。それは次の項目で解説します。
世界遺産に登録されたのは庭園と、北山文化を伝える鹿苑寺全体の価値
鹿苑寺(金閣寺)は1994年(平成6年)に、ユネスコ世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産のひとつとして登録されました。
登録の対象となったのは、国の「特別史跡」および「特別名勝」に指定されている鹿苑寺庭園です。金閣の前に広がる鏡湖池(きょうこち)を中心とした池泉回遊式庭園は、室町時代に栄えた北山文化を象徴するものとして高く評価されました。
世界遺産の登録基準としては、京都が8〜17世紀にかけて日本の伝統文化の形成に貢献してきた点(登録基準ii)と、金閣寺に見られる建築と庭園設計が日本の前近代文化における最高の表現である点(登録基準iv)が評価されています。
あの金色の建物がそのまま世界遺産に認定されているわけではありませんが、金閣を含む鹿苑寺全体の歴史的・文化的価値が世界に認められているということになります。
英語表記はKinkaku-jiとRokuon-jiの2通りある
英語で金閣寺・鹿苑寺を表記する場合、次の2通りがあります。
| 英語表記 | もとの呼び名 | 使われる場面 |
|---|---|---|
| Kinkaku-ji | 金閣寺(通称) | 観光・一般会話・地図・標識など |
| Rokuon-ji | 鹿苑寺(正式名称) | 学術・正式文書・公式案内 |
| the Golden Pavilion | 金閣(建物) | 外国人向けの説明・観光ガイド |
日常会話や旅行で使う場合は「Kinkaku-ji」が通じやすく、一般的です。外国人に金閣の建物を説明するときは「the Golden Pavilion(黄金の楼閣)」という表現が分かりやすいです。鹿苑寺公式のパンフレットには「Kinkaku(the Golden Pavilion)/ Rokuon-ji Temple」と記載されており、この使い分けが公式の基準といえます。
まとめ:金閣寺と鹿苑寺の違いと正式名称を整理しよう
金閣寺と鹿苑寺の違いと正式名称について、最後にまとめておきます。
- 金閣寺と鹿苑寺は同じお寺を指す2つの呼び名で、違いはない
- 正式名称は「鹿苑寺(ろくおんじ)」、通称が「金閣寺」
- 「金閣」はお寺ではなく、境内にある舎利殿という建物の名前
- 鹿苑寺という名前は、足利義満の法号「鹿苑院殿」に由来する
- 「金閣寺」という呼び方は間違いではなく、公式の場でも使われている
- 金閣(建物)は1950年に焼失・再建されたため国宝でも世界遺産登録対象でもない
- 鹿苑寺(金閣寺)は庭園の価値などが評価され1994年に世界遺産に登録された
- 英語では通称をKinkaku-ji、正式名称をRokuon-jiと表記する
「金閣寺」という呼び名に長年親しんできた人も、「鹿苑寺」という正式名称を知っている人も、どちらも正解です。この2つの名前の関係を知っておくと、実際に金閣寺を訪れたときや歴史の話題で出てきたときに、一段と理解が深まるはずです。
◎実際に金閣寺を訪れる際の所要時間や観光ルートはこちらで解説しています。
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